こんにちは! モーションアナライシスコース講師の吉田頌平です。
皆さんは、休みの日は何して過ごしていますか?
仕事の日にはなかなかできない、掃除や洗濯をまとめて行う!という方もいらっしゃるかと思います。
家事を主に行われる方であれば、掃除や洗濯は毎日行う重要な作業だったりするでしょう。
しかしながら、リハビリの場面で「掃除ができるようになりたい!」と患者さん・利用者さんに言われても
『どこから考えたらいいものか…』と悩むことってありませんか?
今回は、掃除の中でも特に大変な「お風呂掃除」を取り上げてみたいと思います。
どのくらい大変なの?
そもそも、お風呂掃除ってどのくらい大変なんでしょうか?
お風呂を含めた、掃除全般を
運動強度を標準化しているMetsレベルで各ADLと比較してみると…
(下図、左から右に向かってキツくなります)
・寝ている時と比べて、掃除は約4倍キツイ
・誰かと一緒に食事をするのと比べて、掃除は約2倍キツイ
・階段昇降よりも、約1.3倍キツイ
けっこう大変ですね…
どうしてこんなに掃除は大変なんでしょう??
そのヒントは、浴槽を洗う動きを分析してみると見えてきます。
浴槽を洗うのに必要な工程とは?
浴槽を洗うとき、どんな動きをしているでしょうか?
思い浮かぶのは、しゃがんでスポンジを押し付けるやり方や
前にかがみこんで、手を下垂した状態でこする方法が多いんじゃないかと思います。
しゃがんだり、前屈する姿勢に注目することがIADLですが、
実は肩の複合的な動きが求められるIADLでもあるんです。
例えば、スポンジで浴槽をこする場面では
・スポンジを押し付ける→プレーシング
・スポンジを動かす→ 内外旋、屈曲、外転など
2つの動作を組み合わせることで、力強くこすることができます。
また、力強くこするためには、踏ん張れることも大事です。
浴室の清掃に関わる動作観察の結果、以下のような考察がされていました。
要するに,上肢稼動の支点を右肩峰部付近ではなく体幹の左体側部付近まで移動させ スウィング幅を広げているものと考えられる.また,浴槽上端部の移動以外の両足による立位時は足底部の移動により対応していると思われる.
引用元:塩川満久.浴室清掃時における姿勢と作業範囲の関係.人間工学(43) 特別号.p.251.2007.
つまり、
1. 肩を自由に動かせること
2. 両足でバランスが取れること
3. 肩の動きに合わせて体幹を柔軟に動かせること
この3つの要素が必要、と言い換えられます。
もはや全身運動と言い換えてもいいくらいですね。
どこからみたらいいのか?
では、具体的に動作をどう見ていけばいいでしょうか?
さきほど挙げた重要な2つの要素を具体的にすると…
1. 濡れた地面の上に立てるか?
2. 壁面をこするように手を動かせるか?
と言えます。
動作レベルで確認するなら
1. 足元が不安定でも立てるか?
2. 立位・しゃがんだ姿勢でリーチングができるか?
をまず評価してみることをオススメします。
詳しい評価方法や、評価の視点は以下をご参照ください。
ADL自立につなげる!立位バランスを評価してみよう[療法士に必要なセルフエクササイズの考え方~その125~]
CVA患者さんが実施するサンディングのポイント知っていますか?
まとめ
在宅で生活することを考えている方のうち、
「掃除ができるようになりたい」と思われている方は少なくありません。
ですが、掃除はADL・IADLの中でも
全身をフルに使う重労働のため、
歩けても、肩を大きく動かせていても
いざ自宅で継続できるのか体力面が不安…と思われる方もいらっしゃいます。
立ち上がりや歩行といった、移動にかかわる基本動作や
着替えや歯磨き、洗顔といった上肢を活用したADL動作ができるようになっても、
『普段から掃除ができるのか…?』と不安になる気持ちは
ある意味、自然なことかもしれないですよね。
そのため、掃除ができるようになるように
小さな目標を一緒に考えられることが重要です。
『掃除ができるようになりたい!』というホープをもとに最終目標を決めたら、
「まず、一人で座れるようになる」
「次に、手を難なく自由に動かせるようになる」
「それから、スポンジを押し付けてこすれるようになる」
などのような小目標を積み上げられると、
大きな目標を達成しやすくなりますよね。
このような小目標を、どう患者さん・利用者さんと決めたらいいのか?
このへんは、動作分析の視点が大いに活きてきますよ。
- 日常生活動作から動作分析を行えるようになりたい…
- 寝返りをもっと見れるようになりたい…
- ADLにつながる介入プランを作れるようになりたい…
そんなお悩みを解決する講座です。
【 特 徴 】
Basic・Assessmentコースで学んだ内容をもとに
寝返りの動作分析を、参加者同士で実践しながら学べます。
【 内 容 】
安定した体重移動の要となる、体幹の機能と特徴
座位・立位で肩を屈曲するために必要な、腹部~肋骨・胸骨~肩甲骨の動きのつながり方
安定して動けるために欠かせない、股関節と骨盤帯のつながり
- 各部位で重要となる部位へのアプローチ方法
・体幹→脊柱、腹筋へのアプローチ
・肩→肋骨周囲へのアプローチ
・股関節→股関節前面へのアプローチ
わからない部分は、いつでも質問できるところも このコースの特徴です( ^ω^ )
Basic・Assessmentの内容を、実戦形式で復習することにもなりますので
実技の面でもレベルアップします。
次の一歩へ進むために、まずは自分の動きを噛み砕いて分析してみませんか?
療法士活性化委員会 認定講師 吉田 頌平
【療活講習会一覧】
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