第56回理学療法士国家試験 午前 第20問

第56回理学療法士国家試験 午前 第20問

毎週木曜日は国家試験の問題と解説をしてきます!!
*あくまで療法士活性化委員会としての解説なので確実な正答を保証するものではありません。必ず自分で調べましょう!

問 

68歳の男性。2型糖尿病、脂質異常症。身長160 cm、体重85.0 kg、体脂肪率38 %。血液検査は、HbA1c 8.2 %、空腹時血糖145 mg/dL。仕事は管理職、デスクワーク中心で一日の歩数は3,550 歩(同年代歩数 7,157 歩)。筋力低下、感覚障害、関節可動域制限は認めない。運動療法で誤っているのはどれか。

  1. 食事の1時間後に実施する。
  2. 筋力増強運動は週2〜3回行う。
  3. 身体活動量増加のための生活指導を行う。
  4. 有酸素運動は1回10 分、週に合計40分程度行う。
  5. 有酸素運動の運動強度は最大酸素摂取量の50 % 程度とする。

解答

4

 

解説

  1. 食事の1時間後に実施する。
    →正しい。血糖の上昇は食後1〜2時間後がピークである。この間い運動することで血糖値の急激な低下を防ぐ。
  2. 筋力増強運動は週2〜3回行う。
    →正しい。筋力増強訓練はこの頻度で効果が得られる。
  3. 身体活動量増加のための生活指導を行う。
    →正しい。デスクワークが中心で、同年代歩数と比べても活動量が少ない傾向にあるので、活動量増加のための指導を行う必要がある。
  4. 有酸素運動は1回10 分、週に合計40分程度行う。
    →間違い。2型糖尿病の場合、中等度(50~70%最高心拍数)の運動を1回20~60分、週3~5回実施することを推奨。
  5. 有酸素運動の運動強度は最大酸素摂取量の50 % 程度とする。
    →おおよそ最大酸素摂取量の50〜60%程度の運動は無酸素性代謝閾値に当たるので、この強度だと長時間の運動が可能になる。

 

なので解答は4となります。

 

これを臨床で活かすには?

糖尿病は血液の循環が悪くなり、感覚障害、炎症、損傷治癒の遅延などリハビリの進行を阻害する一つの要因となります。また2型糖尿病に罹患する方は運動習慣に乏しい場合も多いので、原疾患にプラスして評価、介入を行うことが必要になります。

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