STEFの点数をADLに活かす臨床的活用法|作業療法士が解説

STEFの点数をADLに活かす臨床的活用法|作業療法士が解説

みなさんこんにちは。作業療法士の仲田です。

今回は、STEF(簡易上肢機能検査)の臨床的な活用方法についてお伝えします。「検査はできるけど、この結果をどうADL評価に活かせばいいの?」そんな疑問を持つセラピストの方は多いのではないでしょうか。

実際にZoomのナイトセミナーで「OTしゃべり場」という話し合う場で出てきた会話を一部お伝えしていきます。

STEFの評価結果をADLにどう活かす?

受講生

先生!上肢機能検査のSTEFの使い方…視点…が知りたいです。

仲田

それは、STEFの点数の出し方以外で知りたいということですか?

受講生

はい!この検査をして例えば大球はADLの何に関わるのかなとか…。そんな考えをしている人いなそうですけどね。

仲田

良い視点じゃないですか!ちなみに、大球は球握りなので、丸型のドアノブ、リンゴや梨などの果物を持つ、大きめのマグカップを把持する感じですね。

受講生

そういうのが知りたいです!

各検査項目の把持・つまみパターンを理解する

仲田

まずは、それぞれ何の握りなのか、把持なのかを考えてみましょうか。

受講生

はい!

仲田

大球は球握り、中球は球握り、大直方は筒状握り、中立方は3指つまみ、ここまで良い?

受講生

大球と中球の違いは何ですか?

仲田

大球はパワー寄り、中球は精密寄りになります。

受講生

なるほど。

仲田

木円盤は指腹つまみや3指つまみ、小立方は3指つまみ、布は指腹つまみになります。

受講生

病気によって多少の誤差はありそうですね。

仲田

脳卒中片麻痺の患者さんならマヒの状態も含めるとそうなりますね。

受講生

ですよね。

仲田

続きで、金円板は側方つまみ、小球は指腹・指尖つまみ、ピンは指尖つまみですね。

STEF各項目の把持・つまみパターン整理

  • 大球: 球握り(パワー寄り) → ドアノブ、果物、大きめマグカップ
  • 中球: 球握り(精密寄り) → 小さめの丸い物体の操作
  • 大直方: 筒状握り → ペットボトル、缶
  • 中立方: 3指つまみ → スプーン、箸の把持
  • 木円盤: 指腹つまみ・3指つまみ → 薄い物の把持
  • 小立方: 3指つまみ → 小物の操作
  • 布: 指腹つまみ → 衣服の操作
  • 金円板: 側方つまみ → カード、紙、鍵
  • 小球: 指腹・指尖つまみ → ボタン操作
  • ピン: 指尖つまみ → 細かい物のつまみ

STEFの結果からADL能力を予測する方法

受講生

つまみや握りは理解しました。そこからどうすればいいですか?

仲田

それぞれ分けて考えるのですよ。大球・中球・大直方・中立方・木円盤は粗大な動きや多少の精密さで、握る・包むを考えると衣服を掴む、容器を持つなどに直結しますよね。

受講生

小立方や布、金円板、小球、ピンは、食事や整容、更衣、金銭操作など精密の動きをしますよ。

仲田

つまみや握りを把握したら、その動きがADLとどうかかわっているか想像してみると良いです。スプーンは3点で把持するので、中立方や木円盤、小立方の動きをみてスプーン操作は可能かどうか予測つきそうじゃないですか?

受講生

確かに!

仲田

そんな感じでみていくとイメージしやすいので是非考えてみて下さい。何かあれば療法士活性化委員会のセミナー時に直接伝えていきますよ。

受講生

よろしくお願いします。

まとめ

  1. STEFは点数を出すだけではなく、ADLの評価に使える
    検査結果から日常生活動作の可否を予測できる実用的な評価
  2. それぞれのつかみ、把握の種類を理解する
    各項目がどの把持パターンに該当するかを把握することが第一歩
  3. ADL上どのような所でつかみ、把握をしているかイメージする
    検査項目と実際の生活動作を結びつけて考える習慣をつける

いかがだったでしょうか。STEFの検査結果を単なる数値として扱うのではなく、実際のADL能力の予測ツールとして活用することで、より効果的なリハビリテーション計画を立てることができます。視野が広がり少しでも役に立てたのなら幸いです。

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