- 正常なエンドフィールは「痛みを伴わない最終抵抗」の質で評価され、痛みによって動きが止まる場合は異常エンドフィール(spasm や empty など)として扱います。したがって、可動域を単なる数字(量)だけでなく、抵抗感や緊張などの「運動の質」から評価することが重要です。
- エンドフィール(最終域での手応え)を評価することで、制限が主に筋・関節包・骨などのどの組織に由来していそうかを推定でき、より適切なアプローチを選択しやすくなります。
- 「量」で目標を立て、「質」で手段を選ぶ。質が変われば、後から量も改善してくることが多い、という視点を持ちましょう。
エンドフィールを感じるって?
ROMエクササイズで悩む事ないですか?
- なかなか可動域が改善しない
- 可動域制限の原因がわからない
- ストレッチやリリースしたけど効果がない
- 動かしたくても痛いと言われて出来ない
皆さんこれで悩みませんか?絶対に悩んだことがあると思います。
特にカルテ記載時に制限因子:P(痛み)って事多くないですか?
正常エンドフィールの分類には『痛み』は含まれず、軟部組織性・結合組織性・骨性などの“抵抗の質”で整理されます。
一方、痛みによって動きが止まる場合は、spasm や empty などの“異常エンドフィール”として評価します。
動かした際に感じる抵抗や緊張などの質変化、骨運動の崩れなどの運動の質。この数字に現れない質の部分を考える事で可動域訓練は上手くなります。
難しい話ではありません、養成校で絶対に聞いた事のある基本的な知識で大丈夫です。そんなエンドフィールについてお話しします。
エンドフィールとは?
関節を動かした際、最後に到達したときの「抵抗感」や「手応え」のことをエンドフィール(End-feel)と呼びます。
これは単に「どこまで動くか」→量だけでなく、「何が動きを止めているのか(骨なのか、筋肉なのか、あるいは病的なものか)」→質を判断するための非常に重要な指標です。

エンドフィールの種類
エンドフィールは関節を限界まで動かしたときに触知される抵抗の“質”を感じます。関節の構造上、正常とされる制限の感触は主に3つです。
- 1) 軟部組織性: 筋や脂肪が当たる柔らかな感触 → ぐちゃ
- 2) 結合組織性: 靭帯や関節包が伸ばされるゴム様の弾性硬 → グニュ
- 3) 骨性: 骨同士が接触する硬さ → コツン
これらは関節構造が生理的に制限していることを示す抵抗感です。正常エンドフィールはいずれも「痛みなく」感じられる抵抗であり、痛みを伴うエンドフィールは原則として異常エンドフィールに分類されます。
異常なエンドフィールは病的変化の手がかりとなる、重要サインです。
- 1) 筋性攣縮(スパズム): 突然動きが止まる(防御性の収縮など)
- 2) 空虚感(エンプティ): 抵抗を感じる前の制限など(痛みで患者が止める)
- 3) ばね様(スプリング): ばねのような反発を示す(半月板や関節唇の損傷)
これらは関節構造の破綻や関節内病変の存在を疑わせる重要な所見となります。(骨折、炎症など)

「エンドフィール」が治療プランを決める
患者さんの予後を左右するのは「130度」という数字ではなく、「なぜ130度で止まったのか」という質(エンドフィール)の情報です。
なぜエンドフィールが大切なのか?それは「アプローチが変わるから」です。
【原因別のアプローチ例】
- 筋肉が原因なら: ストレッチやリラクゼーション、物理療法。
- 骨が原因なら: 無理に動かしても壊すだけ。代償動作の獲得や環境調整へシフト。
- 関節包が原因なら: モビライゼーションや持続的な伸張。
この2つを「車の運転」に例えると非常に分かりやすくなります。
リハビリのカルテには「ROM:膝屈曲 120°」と記載します。これが「量」です。量でわかるのは目的地まで120kmという距離になります。
同じ距離でもガラガラの高速道路での120kmと、渋滞中の山道での120kmでは全く違いますよね。本当に大切なのは、その120°にたどり着くまでの「質(道路状況)」もあわせて評価することです。
- 事故で1車線規制 → ダラダラ動いている。
- 合流地点で一時的に混んでる → ここを抜ければ流れる。
- 通行止めで全く動かない → 迂回路しか無い。
原因によって対応は変わりますよね。なのでエンドフィールという質に着目してみましょう。
1. 「量」が語ること:活動の制限
「量」の測定は、日常生活(ADL)への影響を測る指標です。
- 120°なら: 階段昇降はスムーズかな?
- 140°なら: 正座まであと一歩だ。
このように、「何ができるか・できないか」という機能を評価するのが「量」の役割です。
2. 「質」が語ること:制限の正体
一方で「質」は、「なぜそこで止まったのか」という仮説と立証です。同じ「120°で制限」でも、感触によってリハビリの内容は真逆になります。
- パンパンに張った「質」(浮腫・腫脹):
→ 必要なのはストレッチではなく、アイシングや挙上、循環改善です。 - 粘り気のある「質」(短縮・癒着):
→ ここで初めて、持続的な伸張や筋膜リリースが活きてきます。 - ガチッと止まる「質」(骨性):
→ ガチッと止まる「骨性」の質が強い場合、無理に伸ばしてもROMの改善はほとんど期待できず、むしろ損傷リスクが高まります。迂回路を探しましょう(代償や環境設定)
3. 「質」の変化は「量」の変化の前兆
臨床で面白いのは、「量は変わっていないのに、質が柔らかくなる」瞬間があることです。
「昨日も110°、今日も110°。変化なしかな?」と思わず、エンドフィールを感じてください。「昨日はカチカチだったけど、今日は少し遊び(弾力)があるな」と感じたら、それは組織が改善し始めているサインです。
「質」が変われば、後から「量」も改善してくることが多い、という視点を持ちましょう。
セラピストとしての視点・まとめ
- 「量」で目標を立てる(ゴール設定)
- 「質」で手段を選ぶ(アプローチ選択)
この両輪が揃って初めて、動作や生活が変わります。
その手は「センサー」である
ゴニオメーターを当てる前に、まずは優しく、でもしっかりと最終域まで動かしてみてください。組織があなたに「これ以上は無理だよ」「もっと伸ばしていいよ」とメッセージを送ってくれているはずです。
その小さな違和感を感じましょう。
数字(ROM)は事実であり、エンドフィール(質)は解釈です。解釈が変わればアプローチは変わります。
また両者を組み合わせて観察することで、単なる可動域制限なのか、炎症や構造的障害が関与しているのかを推測できるので予後予想にも必要です。
同じ可動域訓練を行うならば効果が出る方が良いですよね?
この観察、評価、アプローチの方法をお伝えします。
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