- 靴紐には「足とのフィッティング」だけでなく、足背を適切に締めることで内側縦アーチの支持を補助する役割がある。
- 内側縦アーチの崩れ(オーバープロネーション)は、足部疾患だけでなく、運動連鎖により膝・股関節・腰などへの負担増加と関連し、全身アライメントに影響し得る。
- 靴紐の結び方で内側のフィット感を高めると、足と靴の一体感が増し、結果として足底感覚や立位バランス、歩きやすさが改善するケースが臨床的に多く経験される。
靴を変えると歩行が変わる?その疑問の答え
こんな経験無いですか?
- 靴紐が解けた→結び直すと何かおかしい。
- 靴を買い替えたら、なんか疲れる。
- 屋内は安定してるのに屋外歩行は不安定
- この方に必要な装具ってなんだろう?
→自分(患者)も靴もおなじなのになぜ?
実はこれ、私自身が実際に経験した事です。

これ、靴や装具の構造を知ると解決出来るかも知れません。
靴の構造と言っても難しい話ではありませんし、深く考えなくても大丈夫です。
ただ役割を考えていくだけでOKです。
【靴を構成する5つの簡単な役割】
- 衝撃吸収
- 運動の方向を補正、促す
- 推進力を生む
- 足の保護
- 足とのフィッティング
それぞれのパーツに役割があります。基本的に意味の無い物はありません。
今回は最初に出てきた「靴紐」について書いていきます。

フィット感だけじゃない!靴紐の補助的な役割
靴紐の役割と聞いてイメージするのが足とのフィッティングだと思います。
正解ですが、ただそれだけでは無いんです。
靴紐がないマジックテープ式の靴をイメージしてみてください。基本的に内側から外側に引っ張って止める構造になっていると思います。
位置的には大体、舟状骨のあたりになっていますよね。
知識のある方は気がついたかと思いますが、舟状骨は内側縦アーチで保持される骨になっています。
つまり、テープによって舟状骨周りの安定性を高め、アーチを補助する構造になっていると言えます。
そして靴紐も、足背を適切に締めることで同じようにアーチ支持を助ける役割を持っています。
足部の要「内側縦アーチ」が全身に与える影響
足には3つの主要なアーチ(内側縦アーチ・外側縦アーチ・横アーチ)がありますが、その中で最も高く、一般的に「土踏まず」と呼ばれるのが内側縦アーチです。
- 構成する骨: 踵骨、距骨、舟状骨、内側楔状骨、第1中足骨の5種類。舟状骨がこのアーチの最も高い頂点にあります。
- 支える組織: 足底筋膜や後脛骨筋などの筋肉・靭帯が弓矢の弦のようにピンと張ることで形を維持しています。
アーチは単なる「隙間」ではなく、高機能なサスペンションのような役割を果たしています。
- 衝撃吸収: 歩行やランニング時に地面から伝わる衝撃を吸収し、膝や腰への負担を軽減します。
- 推進力の産生: 着地時にしなり、蹴り出す瞬間に元の形に戻る反発力を利用して、効率よく前に進む力を生み出します(ウィンドラス機構)。
- 重心の安定: 不整地(デコボコ道)でも足裏が路面に適応し、バランスを保ちやすくします。
特に「3」では、足底感覚が良くなることで全身に影響があります。
足の各アーチがしっかり機能することで、踵、母趾球、小趾球に均等に荷重がかかり(ミッドフット荷重)、足底に分布するメカノレセプター(感覚受容器)が働きやすくなります。
アーチの崩れと運動連鎖の恐怖
内側縦アーチが潰れ、足部が回内してしまう状態は「オーバープロネーション(過回内症候群)」と呼ばれます。
このオーバープロネーションは足部の色々な疾患、症状を引き起こします。(アキレス腱炎、足底腱膜炎など多数)
しかし、影響は足部にとどまりません。
膝OAや腰痛への負担増加と関連するだけでなく、運動連鎖によって反り腰や巻き肩、ストレートネックといった全身の姿勢不良の一因として関与し得ることもあります。
【実践】ぜひ実際の靴紐で試してみましょう
最後に靴紐を結ぶ前に、内側の紐を上に持ち上げる様に少し強く引きながら結んでみて下さい。
立って歩いてみると感覚が大分変わると思います。
内側を意識してしっかりフィットさせると足と靴の一体感が増し、結果としてバランスも取りやすく、力も入れやすくなるケースは臨床でもよく経験します。日常だけでなく、スポーツなど反射的な動きもやりやすくなりますね。

このままだと緩みやすいので、セミナーでは止めるポイント、合わせ方などもお伝えします。
感覚入力と運動連鎖を臨床に活かすために
皆さんは靴紐ちゃんと結んでますか?そしてその靴は自分に合ってますか?

普段から履いている靴、それは二本足で立つ人間と接地面である地面を繋ぐ物。
繋がりが伝える感覚、力。
これが無ければ立位保持すらままならない重要要素。
建物の一階が少し揺れると十階は大きく揺れる。
人体だと足が揺れると身体は大きく揺れる。
揺れ方は骨構造による運動連鎖、つまりルール。
ルール(原理、原則)を知ると問題点の繋がりが観える。
[感覚入力と運動連鎖習得シリーズ]
- 運動連鎖を理解し、全身の繋がりを明日からの評価・治療に活かす1Day集中講座
- 【運動学が苦手な方限定】運動学を臨床に活かすROM訓練 〜関節の構成運動に着目〜
- 体性感覚に着目したバランス評価・介入スキルを習得する1Day集中講座
- 歩行分析〜頭部・胸郭・骨盤・足部からみる指導のポイントと運動療法〜
- 運動連鎖と感覚入力~靴の評価と補正方法〜
- 治療効果を「その場」で終わらせない。 自分にも相手にも貼れるテーピング・セルフケア







