毎週木曜日は国家試験の問題と解説をしてきます!!
*あくまで療法士活性化委員会としての解説なので確実な正答を保証するものではありません。必ず自分で調べましょう!
問
多発性筋炎の回復初期における理学療法で正しいのはどれか。
1. 運動負荷量は血小板数を目安に設定する。
2. 筋力トレーニングは四肢の遠位筋を中心に行う。
3. 間質性肺炎の合併に注意してプログラムを進める。
4. 手指の冷感に対して手部および手指へのホットパックを行う。
5. 筋痛があれば抵抗を減らし、時間を延長して筋力トレーニングを継続する。
解答
3
解説
多発性筋炎とは
診断基準項目
(1) 皮膚症状
(a) ヘリオトロープ疹:両側または片側の眼瞼部の紫紅色浮腫性紅斑 (b) ゴットロン丘疹:手指関節背面の丘疹
(c) ゴットロン徴候:手指関節背面および四肢関節背面の紅斑
(2) 上肢又は下肢の近位筋の筋力低下
(3) 筋肉の自発痛又は把握痛
(4) 血清中筋原性酵素(クレアチンキナーゼ又はアルドラーゼ)の上昇
(5) 筋炎を示す筋電図変化*1
(6) 骨破壊を伴わない関節炎又は関節痛
(7) 全身性炎症所見(発熱、CRP 上昇、又は赤沈亢進)
(8) 筋炎特異的自己抗体陽性*2
(9) 筋生検で筋炎の病理所見:筋線維の変性及び細胞浸潤
多発性筋炎:18 歳以上で発症したもので、(1)皮膚症状を欠き、(2)~(9)の項目中 4 項目以上 を満たすもの。18 歳未満で発症したもので、(1)皮膚症状を欠き、(2)を満たし、(4)、(5)、 (8)、(9)の項目中 2 項目以上を満たすものを若年性多発性筋炎とする。
多発性筋炎・皮膚筋炎診療ガイドライン(2020 年暫定版)より抜粋
臨床症状は
全身症状;発熱、関節痛、レイノー現象、体重減少、筋肉痛、筋力低下、息切れなどが見られ、特に近位筋の筋力低下が見られる。
- 運動負荷量は血小板数を目安に設定する。
→運動負荷量はクレアチンキナーゼ(CK)を基準とする - 筋力トレーニングは四肢の遠位筋を中心に行う。
→筋力低下は近位筋に見られるので近位筋を中心に行う。 - 間質性肺炎の合併に注意してプログラムを進める。
→約30〜40%の症例で間質性肺炎を合併するので注意が必要。 - 手指の冷感に対して手部および手指へのホットパックを行う。
→そもそも炎症性の疾患なので温熱療法は禁忌 - 筋痛があれば抵抗を減らし、時間を延長して筋力トレーニングを継続する。
→過度な運動療法は症状を増悪させるのですぐに中止する。
なので解答は3になります。
これを臨床で活かすには?
体の動きを見るのはもちろん必要ですが、疾患の特徴を知ることでリスク管理を行うことができます。多発性筋炎であれば過度な運動療法は症状を増悪させます。疾患の特徴を知っていれば過用による症状の増悪は防ぐことができます体の動きとともに疾患の知識も合わせて学びましょう。
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