第55回理学療法士国家試験 午前　第9問　解説！

毎週木曜日は国家試験の問題と解説をしてきます！！
＊あくまで療法士活性化委員会としての解説なので確実な正答を保証するものではありません。必ず自分で調べましょう！

第55回理学療法士国家試験 午前　第9問　解説！

問題　74歳の男性。肺尖部がんによる腕神経叢への直接浸潤により環指・小指〜前腕中央・内側にかけて痛覚過敏を訴えている。腕神経叢への浸潤部位はどれか。

1.  C 7神経根
2.  C 8神経根
3. 下神経幹
4. 外側神経束
5. 後神経束

解答

3

解説

腕神経叢の模試図を書いてみましょう。

さらに感覚障害を受けている部分はデルマトームで確認しましょう。

まず「環指・小指〜前腕中央・内側」にかけて感覚障害がある時点で尺骨神経領域なので下神経幹。後はC8のみかTh1も含まれるのかってところですが、前腕の感覚障害もあるのでTh1も含まれます。

なので解答はC8、Th1が含まれる下神経幹。３となります。

これを臨床で活かすには？

問題文は肺がんによる直接浸潤ですが、例えばこれが筋骨格系の問題だった場合、末梢のどのレベルで障害されているかを判断する一つの目安となります。

例えば神経根レベルの問題であれば感覚障害はC8の支配領域、神経幹レベルであれば感覚障害はC8,Th1の支配領域といった具合に判断し、アプローチするレベルが神経根レベルで脊柱のモビライゼーションを行うのか、神経幹レベルで斜角筋にアプローチするのかの判断の基準にもなります。もちろん単純に神経だけの問題ではないですが、一つの目安として覚えておきましょう。