【視覚機能評価】視野・眼球運動・認知の臨床ポイント|ADLへの影響を解説!

みなさんこんにちは。作業療法士の仲田です。

今回は、リハビリテーションにおいて非常に重要な「五感(視覚編)」についてお伝えします。

Zoomナイトセミナー「OTしゃべり場」にて、参加者の皆さんと視覚機能とADL(日常生活動作)についてディスカッションを行いました。その内容を一部抜粋し、臨床で役立つ視点としてシェアします。

【対談】視覚機能評価をADLにつなげるコツ

受講生さくら

受講生
ハイ!視覚についての評価を知りたいです。
作業療法士仲田

仲田
視覚といっても、種類がたくさんありますよ。具体的にどのあたりが気になりますか?
受講生さくら

受講生
回復期でよくみる“視野”、“眼球運動”、“距離感”、“視覚認知”、“視覚-運動協調”あたりがいいです!
作業療法士仲田

仲田
5種類ですね。
半側空間無視(USN)についてはどうですか?
受講生さくら

受講生
半側空間無視は、抹消試験(二等分線や星印など)や時計描画テストなどで何となくわかります!
作業療法士仲田

仲田
良いですね。大事なのは「どこでつまずいているかを系統立ててみる」ことです。
それぞれの特徴と、ADL・移動場面をリンクさせると完璧ですね。

1. 視野(Visual Field)

作業療法士仲田

仲田
まず視野ですが、片側の物に気づきにくい同名半盲や求心性視野狭窄などがあります。

評価としては、対座法(対面法)で指を使用してカウントしてもらうのが基本です。また、机上に物を置いて気づけるか観察するのも実践的で良いですね。

受講生さくら

受講生
なるほど!机上の配置など、実際の環境で何がいけないか評価できますね!

2. 眼球運動(Eye Movement)

作業療法士仲田

仲田
次は眼球運動です。
特徴としては、目で物をスムーズに追えなかったり、読書時に読み飛ばしてしまったり、目が疲れやすいといった症状が出ます。
受講生さくら

受講生
確かに読書の評価までしていませんでした…!朗読で確認してみます!
作業療法士仲田

仲田
いいですね!読字中の行飛ばしを観察するのは有効です。

検査としては、指やペンを水平・垂直・斜めに動かして「追視(Pursuit)」、2つのターゲットを交互に見る「サッケード(Saccade)」を評価すると良いですよ。

3. 距離感(Depth Perception)

作業療法士仲田

仲田
次は距離感(深度知覚)ですね。
受講生さくら

受講生
はい!実際に机上で物品リーチ(手を伸ばす動作)で評価はしていますが、それ以外にあるのかなと。
作業療法士仲田

仲田
ADL場面での観察が重要ですね。
距離感がつかめないと、ドアノブやコップに手が届かず空振り(または倒す)段差の踏み外し車いす操作での衝突などが見られます。

歩行中なら、階段昇降時の足の出し位置なども評価ポイントになりますよ。

4. 視覚認知(Visual Perception)

作業療法士仲田

仲田
次は視覚認知(視覚失認など)ですね。
受講生さくら

受講生
形の認識・物体知覚あたりですね。あまり症例をみない印象です…。
作業療法士仲田

仲田
そうですね、脳卒中患者さん全体では0~3%程度という報告もあります。

特徴としては「物を見てもわからないが触るとわかる」「顔が誰だかわからない(相貌失認)」などです。
評価には、実物と写真のマッチング、日用品の呼称・用途説明、衣服の前後・上下の判別などが有効です。

受講生さくら

受講生
頻度は少ないですが、見逃さないように簡単な質問から始めてみます!

5. 視覚-運動協調(Visuomotor Coordination)

作業療法士仲田

仲田
最後に、視覚-運動協調です。

これは、書字が曲がる・はみ出す、ボタンかけや箸操作がぎこちない、物をつかみ損ねるといった症状が出ます。
評価には線なぞり、迷路、点つなぎなどが使えますし、OTならSTEF(簡易上肢機能検査)でも動きを観察できます。

受講生さくら

受講生
STEFの結果もそういう視点で見れるんですね!盲点でした。
作業療法士仲田

仲田
他にBBT(Box and Block Test)も有効です。上肢の粗大運動能力を測る標準的なテストですが、視覚と運動の連携を見るのにも役立ちますよ。

今回のまとめ

視覚障害へのアプローチのコツは、「訓練だけでどうにかしようとしない」ことです。

1: 「どこでつまずいているか」を系統立ててみる
視野なのか、眼球運動なのか、認知なのかを鑑別しましょう。

2: 評価結果を必ずADL・移動場面とリンクさせる
検査室での結果が、実際の生活(食事、更衣、歩行など)でどう現れているかを確認します。

3: 訓練+環境設定+代償手段+連携で組み立てる
残存機能を鍛えつつ、見やすい環境や道具(手がかり)を活用し、チーム全体で共有することが理想です。

いかがだったでしょうか。
視覚機能の評価に対する視野が広がり、少しでも明日の臨床の役に立てたのなら幸いです。

さらに詳しいADLへのアプローチについては、こちらも参考にしてみてください。

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