こんにちは、療法士活性化委員会の大塚です。
前回は手関節の機能と解剖について学んでみました。手関節の大事な機能の一つとしてダーツスローモーションがあります。ダーツスローモーションでは手根中央関節の動きが重要なんですが、手根骨にはその動きを制御する筋肉がついていません。実際に制御する筋肉は上腕骨の内側上顆、外側上顆から中手骨に向かって付着しています。そこで大事になるのが肘関節の安定性。なので今回は肘関節について学んでみました。
肘関節とは?
いわゆる肘関節
関節 | 構成する骨 | 動き | 役割 |
腕尺関節 | 上腕骨、尺骨 | 屈曲/伸展 | 距離 |
腕橈関節 | 上腕骨、橈骨 | 屈曲/伸展 | 距離 |
近位橈尺関節 | 橈骨、尺骨 | 前腕回内/回外 | 向き |
が挙げられます。
前額面で尺骨は上腕骨軸に対して10°から15°外反しており、肘関節伸展位では生理的に外反しています。
上腕骨の遠位端は上腕骨の軸に対して35°〜45°前方に傾斜位しており、肘関節屈曲時に屈曲筋のスペースを確保している。伸展時は肘頭が肘頭窩にはまるとにより骨性の安定性を得る構造となっています。
肘関節の安定性
基本的には靭帯が安定性に寄与しており、関節包は安定性に大きな役割は果たしていないと言われています。肘関節の関節方は屈曲80°で最大弛緩位となります。
内側側副靭帯
- 前斜走線維束:屈曲/伸展で靭帯長は変化しない、内側の安定性
- 後斜走線維束:屈曲方向の制限
- 横走線維束:後斜走線維束を補助
外側側副靭帯
- 外側尺側側副靱帯:外側の安定性
- 橈側側副靱帯:橈尺関節の安定性
- 輪状靱帯:橈尺関節の安定性
肘関節の可動域とADLに必要な可動域
- 屈曲 140°〜150°上腕筋、上腕二頭筋、腕橈骨筋
- 伸展 0°〜10°上腕三頭筋、肘筋
- 回内 85°円回内筋、、方形回内筋
- 回外 90°回外筋、上腕二頭筋
ADL上では屈伸30°〜130°、回内外80°が必要とされています。
上肢のおける肘関節の役割は距離の調節です。肘関節を屈曲/伸展することで対象物と自分との距離をコントロールすることができます。
特に屈曲角度が120°以上ないと自力での摂食が困難となります。
肘関節へのアプローチ
腕橈関節のモビライゼーション
腕尺関節のモビライゼーション
上腕筋と上腕三頭筋のリリース
まとめ
肘関節は
- 骨と靭帯によって安定化されている
- 対象物との距離を調節している
- 1軸の関節のため、制限されると代償ができないことが多い
関節の機能を理解してより効率的にリハビリを行っていきましょう。
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参考文献・資料
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- 菅本 一臣 すべてが変わったリハビリテーションの概念と治療体系 再生医療とリハビリテーション 1 (1) 9-16
- 上羽 康夫* 上肢のバイオメカニズム バイオメカニズム学会誌 Vol.23No.2(1999)
- 佐藤光太朗 村上 賢也 徳永 花蓮 古町 克郎 外側支持機構を中心とした肘筋の解剖学的研究 日本肘関節学会雑誌 22(2)2015
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- PRiCO(ぷりこ)さんによるイラストACからのイラスト
- 筒井よしほさんによるイラストACからのイラスト
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