拘縮について勉強してみた

こんにちは、療法士活性化委員会の大塚です。

理学療法士大塚久

みなさんがリハビリを担当している方の中に必ずと行っていいほど【拘縮】をしている方っていませんか?拘縮していると関節の可動域も低下しており、リハビリの進行の妨げになることも多く改善できればいいなと思うのですが、正直拘縮の原因や適切なアプローチってできているでしょうか?新人の頃の僕はせいぜい筋肉のストレッチとROMex程度で適切なアプローチなんてわからなかった記憶があります。そこで今回は拘縮の基礎から学び適切なアプローチができるようにお伝えしていきます。

関節可動域制限(ROM制限)とは?

関節可動域制限には大きく分けて

  1. 骨・軟骨などの関節構成体
  2. 皮膚・関節包・骨格筋などの関節周囲の軟部組織

の2つに分けられます。特例として関節内遊離体や脱臼に伴う骨の偏位などの制限もあります。

 

この中でリハビリで改善が期待できるのは関節周囲の軟部組織の器質的変化による可動域制限です。

拘縮は筋収縮を伴わないことが前提の関節周囲の軟部組織の器質的変化による可動域制限と定義されています。

意識下では筋を弛緩させることは不可能なため、厳密に言えば拘縮によるROM制限なのか筋収縮によるROM制限なのかはリハビリの範囲では区別できません。

関節拘縮の原因

拘縮の大きな原因は関節包と骨格筋とされており、ラットを用いた研究では

不動期間が2〜4週までは骨格筋、それ以降は関節包による問題が大きいとされています。
そして各期間のうちの1割は皮膚による制限とされています。

靭帯に関しては不動期間が続くことで脆弱になることがわかっており、拘縮の原因にはならないのでないかと言われています。

いわゆる関節拘縮の原因の主なものは骨格筋関節包です。

拘縮の病態

  • 皮膚:皮下組織の脂肪層が線維化する
  • 骨格筋:コラーゲンの増殖による伸張性の低下
  • 関節包:内側の滑膜層の線維化

どの組織についても不動により線維化し、伸張性が低下することによる可動域制限となります。

キーワードは不動です。

ちなみに筋の短縮も拘縮の原因となるのではないか?と思うかも知れませんが、先程のラットの研究をもとにすると骨格筋の筋長の変化は不動一週間までは優位に変化するが、その後は不動期間が変化しても筋長に優位な変化はみられなかったとしています。なので、筋の短縮は拘縮の初期の問題点にはなりえますが、拘縮が進行した場合の問題点とはならないと考えます。

そして筋長以外に変化するのが伸長性です。長さ張力曲線の静止長を超えて伸長されると収縮によって得られる張力は減少しますが、筋肉を構成する結合組織の張力(受動的張力)が加わります。不動による筋組織の線維化が進むとこの受動的張力が増加し、伸長性が低下します。

拘縮に対してどうアプローチするか?

まず大前提として組織の線維化を防ぐことが目標となります。線維化の原因は不動と虚血です。

なので対策として

  • 他動・自動どちらでもいいから関節を動かす
  • 経皮的電気刺激による筋収縮を促す
  • 血液の循環を阻害しないようなポジショニング・シーティング

などが挙げられます。

局所のアプローチとして

  • 関節包→関節モビライゼーション
  • 筋組織→筋膜のリリース、PIR

などが挙げられます。

詳しくはこちら>>>【触診が苦手な方限定】ROMexを効率的に行うための触診・アプローチ法セミナー

また可動域制限の問題として拘縮以外に、筋肉の収縮がありました。こちらに関しては以前のコラムで配信した神経系に対するアプローチが有効となります。
>>>複雑でわかりにくい神経系について勉強してみた

まとめ

拘縮について勉強してみた

  1. 拘縮とは関節周囲の軟部組織の器質的変によるもの
  2. 不動と虚血により組織が線維化し拘縮の原因となる
  3. 動くことにより循環を維持し、拘縮を予防することが大切

可動域制限=関節拘縮と考えがちですが、病態をきちんと理解して適切なアプローチを行いましょう!

臨床で悩む療法士のためのオンラインコミュティ“リハコヤ”
>>>リハコヤ

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