こんにちは、療法士活性化委員会の大塚です。
本日は、感覚と運動からADLに活かすまでというところでお話しをしていきたいと思います。
理学療法士なら主に機能訓練、作業療法士なら主にADL訓練をして、対象者の日常生活ができるように関わっていると思います。
では、今行っている機能訓練やADL訓練が、どのようにしてADLでも使えるようになっているかを考えたことはありますか?
私は新人の頃、機能が改善すればADLは自然と良くなると思い込んでいました。しかし、実際には機能訓練を行っただけでADLに繋がるときもあれば、繋がらないときも結構ありました。
機能訓練だけ行ってもADLに繋がらない場合は、対象者がどの段階で躓いているかを明確にすることが大切です。
今回は、機能訓練からADLまで、どのように段階を踏んで獲得していくのかをお伝えしていきます。
感覚と運動からADLに活かすまで
基本的に、私たちが動くには、まず外界から感覚が入力されて、脳で統合し、それが運動として出力されます。この過程のどこに問題があるかをきちんとイメージして段階を踏んでいかなければいけません。
日常生活において、感覚入力されたものをどのように運動で出力していくかという段階が、7段階あります。
1.感覚入力
2.感覚運動
3.知覚運動
4.パターン化
5.レギュレーション化
6.イメージング
7.コンセプト化
この7つの段階があり、主に機能訓練は1〜3の状態で、動かしやすくなする段階です。そしてADL訓練は4〜5の状態で、意識して動かす段階です。さらに次の段階が実は大事で、6〜7の生活の場面で使う、つまり無意識で使える段階です。
この7つの段階を踏まなければ、ADLではうまく使うことはできません。
理学療法士がよく行うのは1〜3の感覚入力をしてその動きを意識してもらう機能訓練、作業療法士がよく行うのはパターン化(こういう場合はこうしましょうというパターン化の練習)とレギュレーション化(様々なパターンの中でさらにバリエーションを出す練習)です。それをイメージングしてコンセプト化すると、自宅でも使えるようになります。
感覚入力とは?
この7つの段階をより詳しく見ていきましょう。
感覚入力は単純に、機能が大切です。機能には前庭機能、固有感覚、触覚刺激、快・不快などがあります。
感覚運動とは?
これらの感覚入力があった上で、どのように動かすかが感覚運動、つまり反射の状態です。そしてその感覚が入ってきたものに対して、それを見たり目で追ったりします。目でみると、今度はこうなるんじゃないか、と予測が芽生えます。
また、触覚刺激が入った場合は身体認識が出てきます。特に脳血管疾患の方は感覚が低下しているので、身体認識が低下していることが多いです。なので、そういう場合は触って身体認識をさせたり筋を動かすこと(ROMex.)で固有感覚を入れたりすることが大切になってきます。
知覚運動とは?
感覚運動が行われたら、その動きを見てどのように動いていくか、知覚して運動していきます(随意運動)。受動的な運動から能動的な運動に切り替わる段階です。なので、興味を持ったところへのリーチ動作が出てきます。見えたものに対してリーチしようとするので、ゴールが見え、姿勢にも変化が出てきます。
パターン化とは?
そこからパターン化をしていきます。このときはこうしようといったような手段の獲得をし、見えたものに対してこれをやるというような視覚と意図の一致が起き、空間に対する自己の定位ができるようになってきます。自分の位置と対象の位置がわからなければパターン化することはできません。
レギュレーション化とは?
次にレギュレーション化をしていきます。
例えば、トイレ動作がパターン化されていても、日常生活でのトイレ動作は少しずつ違いがあると思います。時間帯、尿意か便意か、満腹・空腹の具合、スリッパの位置、便座の蓋の開閉、便座の温度、トイレットペーパーの残量…などわずかな違いがたくさんあります。これらのわずかな違いを見て運動を調整し、予測的な対応をするのがレギュレーション化の段階です。
リハビリで介入するのは主にこのレギュレーション化の段階までです。
イメージング、コンセプト化については次回お話ししていきます。
まとめ
機能からADLに繋げるまでの段階について
1. 日常生活において感覚入力されたものを運動で出力していくためには、感覚入力、感覚運動、知覚運動、パターン化、レギュレーション化、イメージング、コンセプト化の7段階ある。
2. 理学療法士は主に感覚入力〜知覚運動までの機能訓練を、作業療法士は主にパターン化〜レギュレーション化までのADL訓練を行うことが多い。
3. 対象者がどの段階でつまずいているのかを評価することが大切である。
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