腰痛患者を前にしたとき、最初に何を評価すべきか? 〜初回評価の5ステップ〜

こんにちは、理学療法士の赤羽です。

腰痛を訴えている患者さんを前にしたとき、みなさんは何を考えて関わりますか?
今回は、腰痛を訴えている患者さんを初回で対応する際に、どのようなことを考えて対応していくのかを考えてみます。

  • 腰痛の初期評価は「危険はないか」「神経症状はあるか」「何で痛みが出るか」「生活の何が困るか」の順で考える
  • レッドフラッグと神経症状の確認が、安全な介入の前提となる
  • 痛みの再現動作とADLを紐づけることで、臨床推論と目標設定が同時に進む

何を評価するか

まず、最初に考えることは「どこが悪いか」ではなく、

  • 「危険はないか」
  • 「神経症状はあるか」
  • 「何で痛みが出るか」
  • 「生活の何が困るか」

腰痛の初期評価は、治療手技を選ぶためだけでなく、「この患者さんに今、何を優先すべきか」を決めるためにあります。

では、実際にどのようなことを確認すれば良いのでしょうか?
最初の評価は、次の5つを確認します。

  1. 問診
  2. レッドフラッグの確認
  3. 神経症状の有無
  4. 痛みの再現動作の確認
  5. ADLとの関連づけ

これらを行うことで、見逃してはいけない病態がないか、神経症状はあるか、どの動きで痛みが再現されるか、そしてその痛みが日常生活のどこで問題になっているかを整理することにつながります。

問診について

腰痛評価の出発点は問診となります。
なぜなら、危険な腰痛は問診の時点で疑えることも多いからです。

問診で確認する項目は様々ありますが、私が優先的にまず押さえたい問診項目は、以下の5つです。

  1. いつから痛いのか
  2. きっかけは何か
  3. どこに、どのように痛むのか
  4. 何で悪化し、何で軽減するのか
  5. 何に困っているのか

ここで大事なのは、単に「痛みの性質」を集めるだけでは不十分という点です。

たとえば「前かがみで痛い」「朝の起き上がりで痛い」「立ちっぱなしでつらい」「靴下を履く時が困る」といった情報は、組織や運動方向の仮説だけでなく、ADL上の目標設定にも直結します。

レッドフラッグの確認

次にレッドフラッグを確認します。

腰痛患者をみたとき、最優先は「この人をその場で評価・介入してよいのか」を見極めることです。ここで必要になるのがレッドフラッグとなります。

レッドフラッグとは、重篤な疾患や合併を疑うものになります。

重篤な脊椎疾患(腫瘍・感染・骨折など)の合併を疑うレッドフラッグ

腰痛診療ガイドライン2019 改訂第2版より

  • 発症年齢 <20歳 または >55歳
  • 時間や活動性に関係のない腰痛
  • 胸部痛
  • 癌・ステロイド治療・HIV感染の既往
  • 栄養不良
  • 体重減少
  • 広範囲に及ぶ神経症状
  • 構築性脊柱変形
  • 発熱

上記の内容が複数当てはまらないか、また膀胱直腸障害の有無なども合わせて確認します。

神経症状の有無

レッドフラッグの次に神経症状の有無を確認します。
下肢症状などがある場合は、それが神経症状によるものかどうかを確認していくことになります。

腰痛に下肢症状を伴う場合の確認ポイント

  • しびれの有無
  • 放散痛の範囲
  • 筋力低下の有無
  • 感覚低下の有無
  • 反射変化の有無
  • 膀胱直腸障害の有無

神経症状をみる理由は2つあります。
1つは緊急性の高い神経障害を見逃さないため、もう1つは神経根由来の症状かどうかを考えるためです。

馬尾症候群では、下肢症状だけでなく、膀胱直腸障害・サドル麻痺などがないかも確認していきます。

注意:「しびれがある=神経障害」と短絡的に考えないこと

実際には、しびれの訴えだけでは神経学的異常を十分に示せません。
デルマトーム・筋力・反射・神経伸張テスト・症状分布を合わせてみることで、初めて神経根レベルの仮説が立ちます。

神経症状の評価の意義は、介入の安全性と優先順位を決めることにあります。

痛みの再現性の確認

重篤な病態と神経症状を大きく外せたら、次は痛みの再現動作(何をすると痛いのか)を確認します。

確認したい再現動作の例

  • 前屈で痛いのか
  • 後屈で痛いのか
  • 起き上がりで痛いのか
  • 座位保持で痛いのか
  • 立位保持で痛いのか
  • 歩行で悪化するのか
  • 荷重移動や回旋で増悪するのか

この評価の目的は、「痛い動き」を探すことではありません。
どの負荷・どの方向・どの姿勢保持・どの時間経過で症状が変わるかをみることです。

これにより、椎間板由来を疑うのか、伸展・圧縮で後方要素の関与を考えるのか、神経の過敏さや神経根症状の影響があるのかといった仮説が立てやすくなります。

ADLとの関連づけ

実際に、患者さんが求めているのは「SLRが何度か」よりも、起き上がれるか、歩けるか、仕事ができるか、家事ができるかなどといった生活に直結する部分です。

たとえば同じ「前屈で痛い」でも、

  • 洗顔で困るのか
  • 靴下を履くのがつらいのか
  • 床の物を拾えないのか
  • 子どもを抱き上げられないのか

で、介入の優先順位は変わります。

まとめ

腰痛患者の前で迷うのは、そもそも評価が分からない、もしくは評価項目が多すぎるという側面もあるのではないかと考えています。
だからこそ、最初は次の順番で確認していくことで方針が立てやすくなるのではないかと考えています。

  1. 問診
  2. レッドフラッグ確認
  3. 神経症状の確認
  4. 痛みの再現動作の確認
  5. ADLとの関連づけ
  6. 仮説を立てて再評価する

この順番なら、危険を見逃しにくく、しかもそのまま臨床推論につながります。
さらにこれらに心理社会的要因を加えられると、さらに多面的に患者さんの状態を捉えられるようになります。

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