なぜ立位、歩行で膝が伸びない?
膝伸展には下腿の前方滑りと外旋(構成運動)が必要となります。
まずは関節の遊び(副運動)の確認→強制終末回旋運動(構成運動)の確認。
そして今回の内容ですが、強制終末回旋運動は
OKC,CKCにより下腿、大腿どちらが動くかが変わってきます。
- 足が地面についていないとき(OKC)
→脛骨が外旋。 - 足が地面についているとき(CKC)
→大腿骨が内旋。
つまり立位では足部(下腿)の安定と股関節(大腿骨)の運動が必要となります。
【この記事の要約】
- CKCでの膝伸展: 荷重下での強制終末回旋運動(SHM)は、下腿の安定と大腿骨の内旋によって引き起こされます。
- 運動連鎖の破綻: 立位での伸展制限は、股関節(下行性)や足部(上行性)の機能不全が原因となっているケースが多く見られます。
- 評価とアプローチ: 膝単体だけでなく、上下の関節の連動性を評価し、患者自身が「膝を伸ばす感覚」を学習できるようなアプローチが重要です。
そもそもCKCって?
事実:CKCとは閉鎖的運動連鎖とも呼ばれる運動形式です。
- 閉鎖的 → 末梢が固定されている状態
- 運動連鎖 → 複数の関節が連動して動く
解釈:特徴としては末梢に対して中枢部が動いていく。また基本的に荷重下での運動となる為、安定性が必要となりやすい。
つまり末梢に対して関節の適合性を良くしていく連動となります。
→荷重部位に関節面を向ける運動
この連鎖が生じる事で床反力を受け止める事が出来ます。
スクワットなど
→足関節、膝関節、股関節を複合で屈曲伸展を行う。連動性、協調性の向上
ちなみに反対のOKC(解放的運動連鎖)では
中枢部に対し末梢が動く為、手足先などを自由に繊細な動きを行う事が可能です。(分離運動など)
この動きでは中枢の安定性が重要となります。(手を自由に動かす為には肩甲骨、体幹の安定性が必要)
SLRなど
→中枢(体幹)の安定性と末梢(局所)の運動性、分離運動の促通

CKCでの膝伸展における運動連鎖のメカニズム
CKCでの膝関節伸展に伴う大腿骨の内旋という要素は、上下の関節と以下のように連動します。
1. 股関節との連動(下行性運動連鎖)
膝が伸展して大腿骨が内旋する時、股関節では以下の動きが誘導されます。
- 動き: 股関節の伸展および内旋。
- ポイント: 股関節の伸展制限があると
→骨盤の荷重(前方移動)が上手く出来ない。
結果として膝の完全伸展(ロック)が不十分になります。
また臀筋群(特にインナー)の硬さは、大腿骨の自由な回旋を妨げます。
【下行性運動連鎖(股関節→膝)の例】
- 骨盤の前傾・股関節内旋位のパターン
デスクワークが多いなどは股関節が内旋気味です。最初から大腿骨が内旋しているため、膝を伸ばす際の「最後のひと絞り」の余裕がなくなり、膝が完全に伸びきらない(伸展制限)状態に見えることがあります。 - 骨盤の後傾・股関節外旋位のパターン
円背が強いなど骨盤が前傾出来ない方は後方重心となりやすく、内旋、伸展に必要な骨盤の前方移動が出来なくなります。
結果、股関節内旋が出せずSHMに支障をきたします。
2. 足部との連動(上行性運動連鎖)
下腿が安定している事が必要となります(背屈でのロック)。安定している下腿に対して大腿側が内旋し(ネジを締める)膝を伸展させます。
下腿が内旋傾向にあると大腿側が必要以上に内旋する事となり、バランスなどに支障をきたします。
例えば
尖足(足関節底屈位・内反位)は、上行性運動連鎖によって膝のロック機構を根底から崩します。
例)脛骨の内旋固定(ネジが逆回転する)
尖足の場合: 足関節が底屈・内反することで、下腿は強制的に内旋位に引き込まれます。結果として膝を伸ばそうとしても、脛骨が内側に捻じれたままロックがかからず、ネジが締まらない状態(不安定)になります。
また、反張膝(過伸展)は、SHMの機能不全を補うための「代償的な構造ロック」として生じているケースが臨床上しばしば見受けられます。
•膝が正しく回旋ロックできないため、代わりに構造的なロック(過伸展)で安定を得ようとします。
しかしこれにより、膝関節の後方組織(関節包など)が引き伸ばされ、さらなる痛みや不安定性を引き起こします。
つまり尖足を改善(背屈を誘導)して運動連鎖を整えなければ、正常な膝のSHMを引き出すことは構造上極めて困難になります。 脛骨が内旋で固定されているなら、相対的に大腿骨を外旋させることでSHMに近い状態を作り、膝の安定性を評価します。
また 痙性により「膝を曲げるスイッチ」が入ったままの膝窩筋を緩め、伸展時の回旋の遊びを作ります。
だるま落としでイメージ

- 真ん中から打つ → 上下が少しずつ崩れる
- 下から打つ → 上に行くに従い傾きが大きくなる
評価→アプローチ→再評価(効果判定)
<評価>
まずは膝単体で伸展が確保されているかを確認して下さい。
伸展制限かある場合は前回の構成運動を評価しましょう。
もし伸展可動域、筋力は問題ないのに立位だと膝伸展が出せない時は今回の強制終末回旋運動(SHM)と運動連鎖を考えていきます。
大事なのは原因が下腿側(足部)か大腿側(股関節)どちらから来ているかを判別する事です。
- 主な原因(下腿側): アーチの不全、足関節の背屈制限
- 主な原因(大腿側): 股関節安定性低下(内外旋の制限)、股関節伸展制限
<アプローチ>
下腿側、大腿側に分けてアプローチします。大事なのは全部はやらないって事です。(理由はセミナーにて)
次に各部位の連動性を促通していきます。
足部又は骨盤と膝の動きを繋げましょう。ここで重要となるのが本人がやり易さを感じるかどうか、膝を伸ばす感覚があるかという事になります。
この感覚がある事で自力でどうすれば膝が伸ばせるのかという事が学習されていきます。
<再評価>
立位にて膝が伸ばせる様になったから再評価します。
それでOKならば動作上で上手く動かせるか評価しましょう。
ここが大事なのですが、立位で膝を伸ばす事が目的ではありません!!
目的は動作など目標となっている事(歩行など)で上手く使えるかどうかになります。
しかしまだ良くなってない、よくなってもすぐに戻ってしまう。
そんなことありますよね?
そんな時は靴やテーピングなどで機能を使いやすくしてみるのも一つの方法です。(ICFでの個人、環境因子)
- 例えば: 靴の踵を安定させる、内側アーチを補正する、外側への感覚入力など
- 対象: 足底腱膜、膝窩筋、踵骨の補正、ショパール、リスフランの補正など
[感覚入力と運動連鎖習得シリーズ]
骨構造による運動連鎖、つまりルール。
ルール(原理、原則)を知ると問題点の繋がりが観える。
この観察、評価、アプローチの方法をお伝えします。







