こんにちは、療法士活性化委員会の大塚です。
前回は膝関節について勉強してみました。膝関節は股関節と足関節の影響を受ける関節ということがわかりました。そこで今回は足関節について勉強してみたいと思います。
足関節とは?
足部は多くの関節で構成されています。
関節名 | 構成する骨 | 役割 |
距腿関節 | 脛骨、腓骨、距骨 | 背屈/底屈 |
距骨下関節 | 距骨、踵骨 | 回内/回外 |
ショパール関節 | 距舟関節、踵立方関節 | 足部の剛性/柔軟性に関与 距骨下関節に影響を受ける |
リスフラン関節 | 楔状骨、立方骨、中足骨 | 時間的な空間と安定性 |
中足趾節間関節(MP関節) | 中足骨と基節骨 | ウィンドラス機構 フォアフットロッカー |
が挙げられます。
足部の役割
足関節は緩衝、安定、推進の3つの機能が必要なため多くの靭帯、筋によってアーチを形成し、アーチによって3つの機能を得ています。大まかに分類すると背屈・内反方向で剛性が高まり、底屈・外反方向で柔軟性が高まります。
足部のアーチ
足部は3つのアーチを持つことにより緩衝作用、推進力、安定性を得ています。
名称 | 構成する骨 | 静的安定性 | 動的安定性 |
内側縦アーチ | 踵骨、距骨、舟状骨、内側楔状骨、第1中足骨 | 底側踵舟靱帯、距踵靱帯、楔舟靱帯、足根中足靱帯、長短の足底靱帯、足底腱膜 | 前脛骨筋、後脛骨筋、長腓骨筋、長母趾屈筋、短母趾屈筋、長趾屈筋、母趾外転筋、足底方形筋 |
外側縦アーチ | 踵骨、立方骨、第5中足骨 | 足底靱帯、踵立方靱帯、足根中足靱帯 | 長腓骨筋、短腓骨筋、短趾屈筋、小趾外転筋 |
横アーチ | 第1~5の中足骨頭 3つの楔状骨、立方骨 舟状骨、立方骨、踵骨 | 深横中足靱帯、楔間靱帯、楔立方靱帯、舟立方靱帯 | 長腓骨筋、母趾内転筋、後脛骨筋 |
クロスサポート
長腓骨筋と後脛骨筋が足底部でクロスするように走行しており、距腿関節底屈時の回内外の制御、足部の安定性、アーチの引き上げに寄与しています。
ロッカーファンクション
足部は基本的に「固めながら動く」ということをしています。そのために重要な機構としてあるのがロッカーファンクションです。大まかにいうと固まって転がることです。
- ヒールロッカー:床面上で踵が転がる
- アンクルロッカー:距腿関節面上で距骨に対して下腿が転がる
- フォアフットロッカー:MP関節面上で中足骨が転がる
さらにフォアフっとロッカー時に足底筋膜が伸張され足部の合成が高まり推進力が得られます、これをウィンドラス機構と言います。
足部を囲む神経
- 足背部:腓骨神経、足背部の痛みに関与
- 足底部:足底神経、足底部の痛みに関与、足底筋膜炎と言われることもある。
ADLで必要な足部の可動域
歩行時の緩衝と推進力はもちろん必要ですが、そのほかのADLでは膝とともに重心の上下の動きを制御しています。いわゆる立ち上がり、しゃがみ込みです。その時に必要になるのが足関節の背屈です。各動作で最低でも足関節背屈10°が必要になります。この背屈に制限があるとつま先を外に向けて下腿を外側に倒す/つま先を内側に向けて下腿を内側に倒すという代償動作が見られるようになります。この代償が膝関節の内/外反の動きを誘発し、膝関節の運動制限を引き起こします。
まず大事なのは足関節の背屈の可動域です。
足部の評価
足部の評価として2点
- 足関節の背屈可動域
- 踵骨床面に対して垂直に位置しているかどうか?
を評価してみましょう。
足部へのアプローチ
距腿関節のモビライゼーション
前脛骨筋のリリース
後脛骨筋のリリース
腓骨筋のリリース
足底筋膜のリリース
まとめ
足関節は
- 緩衝作用、安定性、推進力の3つの機能が必要
- 数多くの靭帯、筋肉で制御されている
- 背屈制限により様々なADLに影響が出る
足関節の機能を理解してより効率的にリハビリを行っていきましょう。
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療活では患者さん、利用者さんの目的を達成のサポートができる療法士が増えることで療法士自身も、患者さん利用者さんも笑顔になることを目的に活動しています。
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参考文献・資料
- Adalbert I. Kapandji (原著), 塩田 悦仁 (翻訳) カラー版 カパンジー機能解剖学 III (3) 脊椎・体幹・頭部 原著第6版 医歯薬出版
- 野村 嶬 (編集) 解剖学 第4版 (標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野) 医学書院
- 中村 隆一 、齋藤 宏 、長崎 浩 (著) 基礎運動学 第6版 医歯薬出版
- 山嵜 勉 (編集) 整形外科理学療法の理論と技術 メジカルビュー社
- 福本貴彦 足関節のバイオメカニクス Jpn J Rehabil Med 2016;53:779-784
- 壇 順司 足関節の機能解剖-人体解剖から紐解く足関節の機能- 理学療法学 2013 年 40 巻 4 号 p. 326-330
- 山崎 裕司ら 足関節背屈可動域としゃがみ込み動作の関係 理学療法科学 25(2):209–212,2010
- 森田 智美ら 足関節背屈制限が立ち上がり動作に及ぼす影響と動作遂行に必要な背屈可動域の検討:─床反力、股関節屈曲角度に着目して─ 理学療法学Supplement 2011(0), Aa0140-Aa0140, 2012
- PRiCO(ぷりこ)さんによるイラストACからのイラスト
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