肩関節疾患に対するスクリーニング検査 ~両肩の屈曲動作に着目して~

肩関節疾患に対するスクリーニング ~両肩の屈曲動作に着目して~

みなさん、こんにちは!
整形外科クリニック勤務の林です。

皆さんは臨床で肩関節疾患を担当することはありますか?
僕はよく「肩関節周囲炎」「上腕骨近位端骨折」「鎖骨骨折」などを
担当することが多いです。

その中で悩むことといえばスクリーニング検査のやり方、内容でした。
・「何をみたらいいか分からない」
・「スクリーニング検査って何をすればいいの?」
・「見たところでどうリハビリしていいのか分からない」
など混乱する事ばかりでした。

そのため、先輩に相談したり、
色んな文献を読んだり、研修会に参加していました。
ただ調べることがたくさんあると何をやればいいか分からないですよね?

僕の場合は患者さん、利用者さんを少しでも良くしてあげたいと思い、
アプローチ方法を勉強した後は動作分析、スクリーニング検査を勉強していきました。

そこで今回は肩関節疾患に対する「スクリーニング検査」のポイントを
文献や研修会、臨床経験からお伝えしたいと思います。

1、肩関節疾患のスクリーニング検査
2、肩関節疾患で屈曲動作を見る理由
3、肩関節疾患の屈曲動作のポイント
4、まとめ

1、肩関節疾患のスクリーニング検査


肩関節疾患の寝返り動作を見た後は機能評価!と言いたいところですが、
寝返り動作だけではどの部分が問題かまで見当が付きにくいですよね?
より具体的な問題点を把握するためぜひスクリーニングをしていただきたいです。
今回は「両肩の屈曲動作」に着目していきます。

まずどうやればいいのか分かりませんよね?
方法は以下の通りになります。

方法

●肢位:背臥位
●手順:両肩屈曲

次にどこを見ればいいのか分かりませんよね?
スクリーニング検査時の肩関節の動きは主に以下の部分に着目してください。

左右差

通常は左右とも同じようにできます。
もし左右で動きのスムーズさに差があったら
肩関節に問題を起こしている可能性があります。
胸鎖関節、肩鎖関節、肩甲胸郭関節、肩甲上腕関節、肩周囲筋の問題がより疑われます。

代償

一般的には肩屈曲では肘、手の運動は入りません。
しかし、肩の機能が低下していると代償運動が入ります。
例えば、
①肩屈曲に伴い肘が屈曲してくる
②肩屈曲に伴い手指が屈曲する
③肩屈曲に伴い肩甲骨が異常に挙上してしまう
上記の現象は肩の機能障害が原因かと疑われます。
ぜひ患者さん、利用者を確認してみてください。

ではなぜ屈曲動作を行うのでしょうか?
それは肩関節の運動学的な理由になります。

2、屈曲の動きを見る理由

肩関節の屈曲の3相

①0°~60° 肩甲上腕関節 棘上筋、三角筋
②60°~120° 肩甲胸郭関節 僧帽筋上・中部、前鋸筋
③120°~180° 脊柱(体幹) 僧帽筋下部、前鋸筋脊柱起立筋
となっています。

なので機能評価を行う前に問題点に検討をつけることができます。
例えば肩関節の屈曲60°~120°で可動域制限や疼痛がある場合は
肩甲胸郭関節、僧帽筋上・中部、前鋸筋に何かしら問題があると思われます。

ではどうやったら効率的に肩関節のスクリーニングができるのでしょうか?
それにはポイントがあります。

3、肩関節疾患の屈曲動作のポイント


屈曲動作の評価を効果的に行うためには2つポイントがあります。

  1. 提示した課題がスムーズに行えるか
  2. 関節運動、筋の作用をイメージすること

です。

提示した運動がスムーズに行えれば肩関節自体にはアプローチする必要がありません。
逆にスムーズにできないのであれば肩関節に問題がある可能性が高いです。

関節運動、筋の作用をイメージするためには触診が必要になります。
肩関節疾患の患者さん、利用者さんの
「肩甲骨」「上腕骨」「鎖骨」など骨や、
「棘下筋」「肩甲下筋」「小胸筋」等の筋は最低限触れられる必要があります。

4、肩関節疾患に対するスクリーニング検査まとめ


肩関節疾患にスクリーニング(両肩屈曲)を行う上でのポイントは

  1. 検査の方法を知る
  2. 屈曲動作を評価する
  3. 肩関節の運動学的な特徴を理解する

になります。

実際にアプローチをする感覚はなかなか分かりにくいと思います。
一緒に患者さん、利用者さんのために臨床をしていきたい!という療法士はこちら
>>>「肩関節疾患に対する評価とアプローチ」<<<

療法士活性化委員会
認定インストラクター 林凌磨

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