肩関節周囲炎の病期について from リハコヤ

肩関節周囲炎の病期について

理学療法士・作業療法士の皆さん、こんにちは!毎週月曜日は、リハコヤで過去に配信されたライブの一部を、記事形式でお届けしています。今回は、臨床で遭遇することの多い「肩関節周囲炎」の病期について、理解を深めていきましょう。

肩関節周囲炎の病態:痛みと可動域制限のメカニズム

肩関節周囲炎は、肩の痛みと可動域制限が主な症状です。特に、結髪・結帯・更衣といった日常生活動作(ADL)が制限され、夜間痛を伴うことも特徴的です。これらの症状は、患者さんのQOL(生活の質)を著しく低下させる可能性があります。

必見!肩関節周囲炎の3つの病期

肩関節周囲炎 炎症期
炎症期:安静時痛、夜間痛
肩関節周囲炎 拘縮期
拘縮期:可動域制限
  • 炎症期(Freezing phase):
    明らかな誘因なく、急激に強い痛みが生じます。多くの場合、安静時痛や夜間痛を伴い、睡眠障害を引き起こすこともあります。
  • 拘縮期(Frozen phase):
    強い痛みは軽減しますが、肩関節の動きが悪くなる「拘縮」が進行します。これは、炎症そのものによる拘縮だけでなく、痛みを避けるために肩を動かさないこと(不動)によっても生じます。ADLに支障をきたすことが多くなります。
  • 回復期(Thawing phase):
    運動時の痛みや可動域制限が徐々に改善していく時期です。適切なリハビリテーションを行うことで、機能回復を早めることができます。

【臨床での注意点】
炎症期に肩甲上腕関節を過度に動かすと、炎症を悪化させる可能性があります。炎症とは、損傷部位を修復するために毛細血管が増加し、患部に熱感が生じている状態です。この時期に無理なリハビリを行うと、毛細血管が損傷し、炎症を助長してしまう可能性があります。

したがって、リハビリテーションでは、患者さんがどの病期にあるのかを正確に評価することが極めて重要です。病期に応じた適切な介入を行うことで、痛みの軽減、機能回復、そして早期の社会復帰をサポートすることができます。

【炎症期】肩関節周囲炎の対応:安静とポジショニング

肩関節周囲炎 炎症期のポジショニング
炎症期のポジショニング例

炎症期は、強い痛みが特徴です。この時期は、以下の点に注意しましょう。

  • 痛みを誘発する動作を避ける:
    患者さん自身が痛みの出る動作を理解し、日常生活で避けるように指導します。無理な運動やストレッチは控えましょう。
  • 安静時痛・夜間痛への対応:
    ポジショニングの指導が重要です。
    • 側臥位(横向き):痛む肩を上にして、抱き枕や丸めた毛布などで腕を支えます。
    • 仰臥位(仰向け):痛む肩の下にタオルなどを敷き、高さを調整します。

痛みの緩和と炎症の早期鎮静化が目標となります。

【拘縮期】肩関節周囲炎の対応:可動域訓練の開始

肩関節周囲炎 拘縮期のリハビリテーション
拘縮期は可動域訓練が重要

拘縮期は、炎症期の強い痛みは和らぎますが、肩の動かしにくさ(拘縮)が目立つようになります。安静時痛は軽減し、鋭い痛みから鈍い痛みや重だるさへと変化することが多いです。

この時期は、**痛みのない範囲で**、徐々に関節可動域訓練を開始します。拘縮を予防・改善し、ADLの改善を目指しましょう。

【回復期】肩関節周囲炎の対応:積極的なリハビリテーション

肩関節周囲炎 回復期のリハビリテーション
回復期:積極的な運動療法

回復期には、運動時痛が減少し、可動域も徐々に回復してきます。この時期は、積極的に運動療法やストレッチを行い、機能回復を促進します。

【重要】
肩関節周囲炎の病期は、炎症期→拘縮期→回復期と一方通行に進むわけではありません。炎症の状態が変化したり、症状が改善・悪化したりすることもあります。定期的な評価を行い、その都度、病期に合わせた介入を行うことが重要です。

まとめ:肩関節周囲炎の病期別アプローチ

  • 肩関節周囲炎には、炎症期、拘縮期、回復期の3つの病期があります。
  • 各病期で症状やリハビリテーションの内容が異なります。
  • 病期を正確に把握せずに介入すると、症状を悪化させる可能性があります。
  • 病期は一方通行ではなく、症状は変動します。継続的な評価と、病期に応じた介入が不可欠です。

さらに詳しい情報を知りたい方、実践的なスキルを学びたい方は、ぜひオンラインコミュニティ「リハコヤ」にご参加ください。毎週2回、臨床に役立つライブ配信を行っています。

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