ICFの個人因子を「臨床で使える」に変える——OTしゃべり場から学ぶ評価⇄介入のつなぎ方

ICFの個人因子を「臨床で使える」に変える——OTしゃべり場から学ぶ評価⇄介入のつなぎ方

みなさんこんにちは。作業療法士の仲田です。

今回は、ICFの個人因子に対する作業療法のアプローチをお伝えします。個人因子は一見複雑に思えますが、実は「その人らしさ」を理解する重要な鍵です。PT/OTが臨床で迷いがちな“書き方”と“使い方”を、会話形式の実例とともに整理します。

本記事はZoomのナイトセミナー「OTしゃべり場」で扱ったトピックをもとに、基本的な内容を変えず、臨床での再現性と検索性(SEO/SGE)を高める形で校正しています。

個人因子の理解に悩む療法士たちの声

さくら(OT)

先生!ICFの個人因子について質問です!

仲田(OT)

はい、どうぞ!

さくら(OT)

また書き方を…。

仲田(OT)

個人因子は苦手ですか?

さくら(OT)

はい、最近外国人の患者さんもいらっしゃって混乱してます。

仲田(OT)

なぜ外国人の患者さんだと混乱するんですか?

さくら(OT)

文化や国によっていろいろ異なるじゃないですか。

仲田(OT)

そう、その通り。だから標準化はされていません。

さくら(OT)

え?

仲田(OT)

個人因子は、その人の生きてきた背景や価値観など、“その人らしさ”に関わる要素です。

さくら(OT)

何かOT(作業療法士)っぽい!

仲田(OT)

OTですからね。

個人因子の具体的な構成要素を理解する

さくら(OT)

個人因子は、年齢や性格、職業、学歴などですよね?

仲田(OT)

足りないけど、そうですね。

さくら(OT)

足りませんか?

仲田(OT)

具体的に伝えると多くあります。年齢・性別に加え、出生時状況ライフスタイル(睡眠・食事・運動・喫煙・飲酒)、教育・学歴(最終学歴・読み書き・言語能力)など。

仲田(OT)

職業・経歴(現職・過去職・退職状況)、価値観・信念(宗教・文化・死生観・ケアへの態度)、性格・気質(積極性・慎重さ・不安傾向・好奇心)、生活歴(家族関係・移住・病歴・介護経験)、心理的要因(自尊感情・自己効力感・ストレス耐性)も含みます。

さくら(OT)

わわわ!そんなにあるんですね。

個人因子の主要な構成要素

  • 基本属性:年齢、性別、出生時状況
  • ライフスタイル:睡眠・食事・運動習慣、喫煙・飲酒の有無
  • 教育・学歴:最終学歴、読み書き能力、言語能力
  • 職業・経歴:現職、過去の職歴、退職状況
  • 価値観・信念:宗教、文化的背景、死生観、ケアへの態度
  • 性格・気質:積極性、慎重さ、不安傾向、好奇心
  • 生活歴:家族関係、居住歴、病歴、介護経験
  • 心理的要因:自尊感情、自己効力感、ストレス耐性

個人因子を活動・参加につなげる実践的な記載方法

仲田(OT)

ポイントは、活動や参加にどう影響しているかを明確に記載すること。

さくら(OT)

はい!

仲田(OT)

例:「几帳面な性格のため在宅自主リハを継続できる」「介護経験がありサービス利用に積極的」など。

さくら(OT)

イメージしやすいですね。

仲田(OT)

文化・宗教による配慮も重要。「宗教的理由で特定の医療処置を望まない」といった情報は意思決定と参加に直結します。

個人因子を「その人らしさ」として捉える視点

仲田(OT)

ICFでは、個人因子を“障害の構成要素”ではなく“その人らしさ”として尊重します。

さくら(OT)

はい!

仲田(OT)

この視点が、支援の方向性や関わり方のヒントになり、介入設計の精度が上がります。

さくら(OT)

確かに!

仲田(OT)

さらに詳しくは、療法士同士の「OTしゃべり場」で実例を交えながら深掘りできます。

まとめ

  1. 「その人らしさ」を捉える視点が大切
    個人因子は標準化されていないからこそ、独自の価値観や背景を理解する重要な手がかり。
  2. 活動・参加への影響まで書く
    事実の羅列ではなく、行動・意思決定・参加への具体的影響に落とし込む。
  3. 介入設計の解像度が上がる
    個人因子の丁寧な把握が、オーダーメイドのリハとチーム連携を強化。

臨床の迷いを確信へ変える学び

「日常動作」を解剖・分析し、患者さん一人ひとりに合ったADLプログラムを設計できる力を育む3日間集中セミナー。起居・食事・更衣・排泄など、現場で直結して使える視点と技術を体系的に学べます。

ADL実践アプローチ3日間集中講座

療法士同士で学び合う「OTしゃべり場」

ADL実践アプローチ3日間集中講座 バナー

よくある質問(PT/OT向け)

  • Q. 個人因子はカルテにどこまで書く?
    A. 事実(学歴・職歴・価値観など)と、それが活動・参加へ与える具体的影響まで。介入やサービス選択につながる粒度が目安。
  • Q. 文化・宗教的配慮はどう扱う?
    A. 意思決定・参加に直結するため、尊重しつつ選択肢を提示。チーム共有の際は当事者の同意と表現配慮を徹底。
  • Q. 記載の型は?
    A. 事実 → 影響 → 介入示唆の三段構成(例:「几帳面 → 自主訓練継続 → セルフモニタリング表で強化」)。

多くの受講生が選ぶ療活一番人気のセミナー 6日で学ぶ評価・アプローチのための触診セミナー”信頼される療法士”の土台を作る

受付中講習会一覧