毎週木曜日は国家試験の問題と解説をしてきます!!
*あくまで療法士活性化委員会としての解説なので確実な正答を保証するものではありません。必ず自分で調べましょう!
第55回理学療法士国家試験 午前 第19問
問 8歳の女児。顕在性二分脊椎。Sharrardの分類はⅣ群である。歩行練習の実施方法で適切なのはどれか。
- 靴型装具を使用する。
- 長下肢装具を使用する。
- 短下肢装具とロフストランド杖を併用する。
- 長下肢装具とロフストランド杖を併用する
- 骨盤帯付き長下肢装具とPCW(postual control walker)を併用する。
解答
1
解説
二分脊椎症とは?
脊柱の閉鎖に欠陥が生じた状態のことです。下位胸椎,腰椎部,または仙椎部で最も多くみられ、重症度は様々です。多くの患児にキアリII型奇形( 水頭症)がみられるため、水頭症の頻度が高いと言われています。
症状
- 神経:脊髄、神経根が侵されている場合は、病変より下位の運動麻痺と感覚障害
- 筋・骨格:神経障害に伴う整形外科的な問題(内反尖足、関節拘縮など)
- 泌尿器系:麻痺の程度により膀胱機能の障害、神経因性膀胱など
予後
障害された脊髄の高位によって差がみられ、高位脊髄の障害では比較的不良と言われているが、適切な治療により良好に経過する。
各筋の神経支配とSharrard分類
問題の対象者はSharrardの分類のⅣ群。短下肢装具での歩行が可能で、装具なしでも歩行可の状態なので、短下肢装具のみ、または次の段階のリハビリが必要となります。なので解答は1です。
これを臨床で活かすには?
二分脊椎症はSharrardの分類にあるようにある程度の機能障害のレベルは決定してしまいます。しかし西川らの報告にあるように必ずしも分類どおりには確定せず、理学療法を施行することで分類以上の移動能力を獲得することも示唆されます。ただし、日常生活では移動の速度を優先させるために車椅子を利用するなどと言った対象者一人ひとりの環境に合わせたリハビリが必要です。もちろん車椅子を選択すれば2次的な廃用が起こります。予後予測も含めて環境や個人因子も合わせて評価しましょう。
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参考文献
- J. W. SHARRARD, SHEFFIELD, POSTERIOR ILIOPSOAS TRANSPLANTATIONIN THE TREATMENT OF PARALYTIC DISLOCATION OF THE HIPW THE JOURNAL OF BONE AND JOINT SURGERY VOL. 46 B, NO. 3, AUGUST 1964
- 西川 秀一郎 ら 二分脊椎症の活動予想について:Sharrardの分類と当院との比較 理学療法学Supplement BbPI2147-BbPI2147, 2011
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