こんにちは、やっと風邪から復帰してきた療法士活性化委員会委員長の大塚です。健康って大事ですね。
もう理学療法士として経験も長くなってきたのですがなりたての頃から「評価ができていないね」「ちゃんと評価したの?」「その評価本当にあってる?」と言われ続けたので改めて評価について勉強してみたいと思います。
評価には大きく分けて
- 情報収集
- 検査・測定
- 仮説・検証
の3つがあります。前回の記事では情報収集について書きました。今回は検査・測定について書いていきます。。
リハビリの評価を勉強してみる〜情報収集編〜
リハビリの評価を勉強してみる〜検査・測定編〜 <<<今回はこれです!!
リハビリの評価を勉強してみる〜仮説・検証編〜 2019年11月1日公開
リハビリの評価を勉強してみる〜まとめ〜 2019年11月8日公開
リハビリにおける評価とは?
一般の臨床医学で疾病の根本的な回復を目的に、疾病原因を究明する作業を診断と呼ぶ。これに対してリハビリテーションでは、心・身機能、日常生活の活動性、社会生活への参加を把握する作業を評価と呼ぶ。評価はこれらの障害の要因を分析し、解決手段を検討し、有効性を確認する作業をいう。
Wikipediaより引用 https://ja.wikipedia.org/wiki/リハビリテーション
とあります。要は現状把握からアプローチの有効性の確認まで行う必要があります。
前回の記事では主訴とHOPE(demand)、予後とリスク管理を意識して情報収集しましょうとお伝えしました。今回の検査・測定でもこの4つがポイントになります。
検査・測定の実際
- 全身状態
- 意識・覚醒状態(JCS/GCS)
- 認知
- 視診
- 触診
- バイタルサイン(脈拍・血圧・呼吸)
- 皮膚状態
- 形態
- 姿勢
- 関節可動域(ROM)
- 筋力(MMTなど)
- 体性感覚(表在感覚:触圧覚、温覚、痛覚、深部感覚:関節位置覚/運動覚、振動覚)
- 疼痛
- 反射(バビンスキー反射など)
- 不随意運動
- 協調運動(指鼻指テスト)
- 分離運動(上田式12段階片麻痺機能検査手指・上肢・下肢)
- 脳神経検査(Ⅻ脳神経検査医)
- 整形外科的テスト
- 摂食・嚥下機能
- 自律神経機能
- 排尿・排便機能
- 身体機能(膝伸展筋力、握力、ファンクショナルリーチ、片脚立位、FFD、BI、FIM、IADL)
- 運動発達(頸部固定、寝返り、腹臥位、四つ這い、坐位、起立、立位、歩行)
- 姿勢反射(傾斜反応、保護伸展反応、ステップ反応、ホップ反射など)
- 運動耐用能(最大酸素摂取量、運動耐用時間、6分間歩行、など)
- 高次神経機能障害
など代表的なものを挙げてみてもこれだけあります。これを全て見るのが本当はいいのでしょうが(ボトムアップ)、正直限られ時間の中では無理です。そこで主訴とHOPE、予後、リスク管理の観点から選択していきましょう。
例)
大腿骨頸部骨折術後の方の場合
バイタル、全身状態、意識・覚醒状態、皮膚状態(術創部など)、疼痛、形態(転子果長、棘果長、大腿径)、関節可動域、筋力、整形外科的テスト、体性感覚、協調運動、脳神経、身体機能、姿勢反射、運動耐用能など
脳卒中片麻痺の方の場合
バイタル、意識・覚醒状態、皮膚状態、疼痛、反射、不随意運動、協調運動、分離運動、脳神経、摂食、嚥下、排尿、排便、関節可動域、筋力、体性感覚、身体機能、運動発達、姿勢反射、運動耐用能、高次脳機能など
大事なことはそれぞれの検査・測定に目的があること
検査測定はただ闇雲に行っても意味がありません。その検査・測定にどんな目的があるかが大切です。目的を持って検査・測定を行うことで疾患の評価ではなく、その患者様の評価となります。
例えば先ほどの大腿骨頸部骨折術後の患者さんの場合
- バイタル:リスク管理と運動負荷量の決定
- 意識識・覚醒状態
- 皮膚状態:術創部の状態、癒着しているのか?瘢痕化して伸長性が低下していないか?
- 疼痛:手術による痛み、手術以外での痛み、痛みによる動作の制限があるか
- 形態(転子果長、棘果長、大腿径):脚長差あるか?ある場合、立位になった時姿勢はどうなるか?下肢の筋力低下とその割合は?
- 関節可動域:骨折による可動域の低下、またはもともとある可動域制限、骨折の原因
- 筋力:手術による筋力低下、安静による筋力低下、もともとの筋力低下
- 整形外科的テスト:器質的な問題点はないか?
- 体性感覚:手術により関節内の構造が変化しているため。深部感覚が障害されていると関節運動が思ったように制御できない
- 協調運動:下肢の運動が協調して行えるか?立ち上がり、しゃがみ込み、歩行などの動作につなげることができるか
- 脳神経:環境をどのように認知して感覚入力をしているか?
- 身体機能:現在の身体機能と退院時に必要な身体機能の差を明確にする
- 姿勢反射:予測不可能な外乱刺激に対する反応はどうか?転倒による再発予防
- 運動耐用能:自宅退院なら自宅での生活がおくれるレベルの耐用能が獲得できているか?
などが考えられます。
この目的を明確にするために必要なポイントがHOPEです。
HOPEが家に帰って今までと同じように生活したいのであれば身体機能や運動耐用能は自宅で今まで生活していたレベルが目標になります。また家屋状況によって必要な関節可動域や筋力も変わってくるでしょう(トイレが和式・洋式、ベット、布団、階段昇降の有無など)
検査測定では再現性が大事
検査測定では直接触って行うものがあります。そこで目的とした部位に触れるか触れないかで評価の再現性に影響してきます。
- 皮膚状態:皮膚のレベルでの階層的触診
- 形態(転子果長、棘果長、大腿径):上前腸骨棘、内果、大転子、外果、膝蓋骨の触診
- 関節可動域:目的とする関節と骨の触診、運動方向、運動軸、基本軸の触診
- 筋力:目的とする筋の触診、代償を抑えるための固定部の触診
などの触診が必要になってきます。
まとめ
リハビリの評価、検査・測定では
- 「主訴」と「HOPE」「リスク管理」と「予後」がポイント
- 目的を持って行う
- 目的の部位を触れることが大事
を意識して行ってみましょう。
次回は仮説・検証編です。仮説を立てるにはまず動作分析が必要です。動作分析を行い、その問題点を把握するために今回の検査・測定を行います。そこで出た問題点に対してアプローチを行い検証します。その過程をお伝えしていきます。
リハビリの評価を勉強してみる〜仮説・検証編〜 2019年11月1日公開
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