膝折れに対するリハビリ 〜アプローチ、評価、リスク管理方法〜

膝折れに対するリハビリ 〜アプローチ、評価、リスク管理方法〜

みなさん、こんにちは!
整形外科クリニック勤務の理学療法士の林です。

みなさんは「膝折れ」のリハビリを担当されたことはありますか?
膝折れ(Giving way)は、
・脳卒中片麻痺、
・変形性膝関節症
・前十字靭帯損
などの患者さん、利用者さんに生じてしまう症状になります。
膝折れがあると
「歩くときに膝が痛い」
「歩くのが怖い」
「人と一緒に歩きたくない」
などの訴えが聴かれると思います。

僕もリハビリで担当した時、
「どうしたら膝が伸びるのか」
「何が原因なのか」
「リハビリの時に何を注意するばいいのか」
悩むことがたくさんでした。

色んな文献・書籍、研修会などで勉強しました。
ただ覚えることや確認することが多くて正直ウンザリしますよね。

なので今回は膝関節に着目した「膝折れ」の
・アプローチの方法
・評価の方法
・リスク管理の方法
についてご紹介したいと思います。

1、膝折れのアプローチ方法

膝折れは歩行時に文字通り膝が屈曲してしまう状態です。
TKAやACLの術後で炎症が起きている場合では膝は安静にすることが必要になります。
炎症が落ちついたら膝関節や筋の機能改善を図っていきます。
具体的には、
<関節>
膝蓋大腿関節
脛骨大腿関節
<筋>
大腿四頭筋
ハムストリングス
膝窩筋
などが考えられます!
ぜひ試してみてください。

上記の介入で膝関節や筋の問題は改善します。
アプローチを行う時のポイントは触れる部位のイメージ、「触診」が大切になりますね!
この後に運動療法を行うとより効果が出やすいです。
ただアプローチを闇雲に行うのでは1単位・20分では介入は難しいですよね。
そこで必要なのが「評価」になります!

2、膝折れの評価方法

順番としては以下の通りに行うと問題点を把握しやすいです。

<姿勢評価>
目的:膝関節のアライメント評価
方法:床面と大転子、腓骨頭、外果の位置を確認
解釈(例):腓骨頭前方変位➡大腿脛骨関節の可動性低下、ハムストリングスの筋力低下

<動作評価>
目的:膝関節の安定性評価
方法:患足を1歩前に出し膝関節を屈曲
解釈(例):膝蓋大腿関節の可動性低下➡大腿四頭筋の筋力低下

<機能評価>
・膝蓋大腿関節→Patella Gliding Test
・脛骨大腿関節→Tibia Drawer Test
・大腿四頭筋→Heel Buttock Distance
ハムストリングス→Straight Leg Raising
・膝窩筋→Screw Home Movement
などの評価方法があります。
ぜひ評価してアプローチ部位を決めてみてください。
実際の評価・アプローチはこちらの動画を参考にしてみてください!
>>>【20分で変化を出す】膝関節疾患に対する評価とアプローチ法<<<

ただアプローチ・評価ができても病態が把握できていないと悪くしてしまう可能性があります。
そこで必要なのが「リスク管理」になります!

3、膝折れのリスク管理

大切な事は「状態を悪くしない事」になります。
せっかく、アプローチ、評価を行っても、痛みを出したりケガをさせてしまってはいけません。
なので最低限注意しておく項目を決めておきましょう。

膝折れでは転倒、痛みに注意することが必要になってきます。
例)
・急に尻もちをつくかもしれません
・同じ歩行を続けることで膝が痛くなるかもしれません
・人と歩くことが恥ずかしく思うかもしれません

患足で介助、見守りをしながら歩行することや
膝折れがADLへどんな影響があるか
など考慮してリスク管理するといいかと思います。

なお、TKA、ACL術後は最初から全荷重は困難なため
歩行器・松葉杖・ロフストランド杖・Q杖・T杖など使用し荷重量を増やしていきます。
脳卒中片麻痺では
膝装具、長下肢装具で転倒予防をしながら荷重訓練をしていきます。

ただ膝関節は中間関節であるため、股・足関節の影響を受けやすいです。
なので荷重時に痛み・ROM制限がある場合は膝以外の関節に着目すると改善できることもあります。

4、膝折れのリハビリ まとめ

膝折れのリハビリでポイントとなるのは
1、膝折れのアプローチ
2、膝折れの評価
3、膝折れのリスク管理
になります。

一見すると大変だと思います。。。
ただ1つずつ評価をすることで患者さん、利用者さんへ変化出すことができます!
変化が出ることで喜んでもらえるので嬉しくなりますよね!!

詳しい病態の整理、評価とアプローチ方法はこちらで確認していきませんか?
>>>【1単位20分で変化を出す】膝疾患に対する評価とアプローチ法<<<

療法士活性化委員会
認定インストラクター 林凌磨

参考文献
1)理学療法ハンドブック(改訂第4版)第3巻 疾患別・理学療法基本プログラム
細田多恵+柳澤健 編集

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